留袖は、子の結婚式など人生の節目のために誂える「第一礼装」。だからこそ出番が少なく、タンスの奥で何十年も眠りがちな着物でもあります。
「タンスの肥やしにしてカビさせるなんてもったいない」——本当にそのとおりで、留袖は放っておくより、着るか、次の持ち主に渡すかを決めてあげたい着物です。
あやうちにも母の黒留袖がありました。「立派なものだから高く売れるはず」と思っていたら、調べてみて意外な事実が…。
この記事では、留袖の買取相場と、第一礼装なのに相場が控えめな理由、黒留袖と色留袖の違い、そして気になる家紋の影響まで、業者の公表情報と実際の声で整理します。
結論:留袖の買取相場の目安(業者公表値・実績)
| 区分 | 金額 | 出典 |
|---|---|---|
| 留袖の相場目安 | 〜50,000円 | バイセル公式・相場一覧 |
| 買取実績: 色留袖(刺繍クジャク) | 21,000円 | 福ちゃん公式・実績 |
| 買取実績: 大羊居 金彩菊模様 刺繍留袖 | 10,000円 | 福ちゃん公式・実績 |
| 買取実績: 大彦 留袖 | 5,000円 | 福ちゃん公式・実績 |
出典:バイセル公式「着物の買取相場一覧表」(https://buysell-kaitori.com/column/kimono-price/)/福ちゃん公式・留袖買取ページの買取実績(https://www.fuku-chan.info/kimono/tomesode/)※いずれも2026年8月27日確認。買取価格を保証するものではありません。
実績を見ると、老舗の誂え品でも数千円〜2万円台が現実的なライン。「誂えたときは何十万円もしたのに」と思うと切ない数字ですが、これには理由があります。
なぜ第一礼装なのに相場は控えめなのか
理由はシンプルで、着る機会が少ないうえに、今はレンタルが主流だからです。中古で買ってまで持とうとする人が限られる一方、手放したい人はたくさんいます。
「留袖を持っているのにレンタルした」という声。サイズが合わなくなれば、手持ちがあってもレンタルを選ぶ——これが今の現実です。
さらに「五つ紋の黒留袖は格が重すぎる」とドレスを選ぶ場面も増えています。供給が多く需要が絞られている——留袖の相場が控えめな構造は、ここにあります。だからこそ、後述の「評価される条件」を知って臨むことが大切です。
黒留袖と色留袖の違い
| 黒留袖 | 色留袖 | |
|---|---|---|
| 格 | 第一礼装(最上級の礼服) | 準礼装 |
| 紋 | 五つ紋が基本 | 三つ紋が一般的 |
| 着る場面 | 結婚式の新郎新婦の母・親族 | 園遊会・叙勲授与式など幅広い(皇室関連では色留袖がマナー) |
家紋が入っていても売れる?
留袖で必ず聞かれるのが「うちの家紋が入っているけど売れるの?」という疑問です。結論、家紋入りを理由にあきらめる必要はありません。中古市場の買い手には、紋をあまり気にしない方も、直して着る方もいます。こんな声すらあるほどです。
リサイクルの黒留袖で、サイズも柄も、入っている家紋まで婚家と同じものに出会った——という奇跡のような話。家紋は約2万種あると言われる一方で使用頻度の高い紋は限られるので、こういう出会いも実際に起こります。査定では紋の有無より、次の条件のほうがずっと効きます。
留袖の査定で評価される条件
そして留袖こそ「まとめて査定」が有効です。単品では値がつきにくくても、訪問着や紬と一緒なら全体で評価されやすくなります(方法選びは買取方法の記事へ)。
売る前に:一度だけタンスを確かめて
留袖は「親の想い」が宿りやすい着物です。手放す前に、一度だけ確かめてほしいことがあります。



レンタルを検討していたら、お母さまが自分の着丈で用意してくれていた留袖がタンスに——。売る・借りるを決める前に、タンスと家族の記憶を一度たどってみてください。
そして、受け継いだ留袖を着ることは、故人と一緒にお祝いに出るようなものです。
着る予定がどうしてもない場合の選択肢(買取・譲る・リメイク・供養)は、遺品整理の着物の記事で整理しています。


まとめ:留袖は「期待値低め・条件勝負」で臨む
- 公表相場は〜5万円。実績ベースでは数千円〜2万円台が現実的
- レンタル主流+供給過多で、第一礼装でも相場は控えめ
- 家紋入りを理由にあきらめない。紋より作家・刺繍・状態が効く
- 単品より、他の着物とまとめて査定に出す
- 売る前にタンスと家族の記憶を一度確認。受け継ぐ道もある
誂えた金額と査定額の差に驚くかもしれませんが、それは留袖の価値が消えたからではなく、市場の構造の問題です。納得のいく形で、あなたの留袖の行き先を決めてくださいね。
よくある質問
- 家紋を消したり入れ替えたりしてから売るべきですか?
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不要です。紋の加工(染め抜き直し)には費用がかかり、査定額がそれを上回ることはまず期待できません。家紋が入ったまま、そのまま査定に出してください。
- 比翼(ひよく)は外して出したほうがいいですか?
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比翼(重ね着に見せる白い仕立て)は留袖の一部なので、外さずそのまま出してください。帯・帯締め・末広(扇子)などの小物も、あればセットで査定に出すと評価されやすくなります。
- 金彩や金糸の部分が変色していても売れますか?
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変色は減額要素になりますが、査定不可とは限りません。こすったり自分で手入れしたりせず、そのままの状態で査定士に見てもらってください。